インクジェットプリントとは?プリント方法との比較やデメリットまで詳しく解説
- 公開日:
- 2021/08/18
Tシャツのプリント方法として代表的なインクジェットプリントには、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
この記事ではインクジェットプリントの基礎知識やメリット・デメリット、気になる色落ち事情や他のプリント方法との比較も含めて詳しく解説します。
インクジェットプリントと他のプリント方法の比較表
インクジェットプリントと他のプリント方法の違いについて表にまとめましたので参考にしてください。
インクジェット
発色: やや薄め
色数など: 色数制限なくフルカラーでプリント可能 、 ぼかし・グラデーションOK金・銀・ラメ・蛍光NG
印刷再現 : 〇
対応生地 : 綿100%推奨
印刷にじみ : △
コスト : 小ロットでも低コストでプリント可能(料金シミュレーション)
バリエーション : 1枚ごとにネームや数字を入れることも可能
シルクスクリーン
発色:発色〇
色数など:色数が増えると版代が加算される、金・銀・ラメ・蛍光など特殊な色もOK 、ぼかし・グラデーション△
印刷再現 : 〇
対応生地 : ほぼすべての生地に印刷可能
印刷にじみ : 〇
コスト : 小ロットだと1枚あたりの費用が高い、多いほど単価を抑えられる(料金シミュレーション)
バリエーション : 版を作成するのでデザイン・大きさの変更不可 プリントカラー変更可
熱転写プリント
発色:発色◎
色数など:色数制限なくフルカラーでプリント可能、ぼかし・グラデーションOK
印刷再現 : ◎ シートを貼り付ける方法のため、若干のゴワつきがある
対応生地 : 綿・ナイロン・ポリエステル
印刷にじみ : ◎
コスト : 小ロットでも低コストでプリント可能
バリエーション : 1枚ごとにネームや数字を入れることも可能
カッティングシートプリント
発色:発色◎
色数など:1色のみ可能 シートの色に限りがある 細かいデザイン不可
印刷再現 : ◎
対応生地 : 綿・ナイロン・ポリエステル
印刷にじみ : ◎
コスト : 小ロットでも低コストでプリント可能
バリエーション : 1枚ごとにネームや数字を入れることも可能
つまり、インクジェットプリントは次のような場合に適しているプリント方法です。
- 写真やグラデーションがあるデザインのものをプリントしたい
- 同じデザインでサイズごとに大きさを変えて製作したい
インクジェットプリントについてさらに詳しく説明していきますね。
インクジェットプリントはフルカラー・小ロットに強い
インクジェットプリントの魅力は、端的に言うと、コストを抑えつつ細部まできれいにフルカラー印刷できること。まずはインクジェットプリントの仕組みから簡単に見ていきましょう。
インクジェットプリントの仕組み
インクジェットプリントは、簡単に言えば、家やオフィスのプリンターで印刷するのと同じ仕組みです。プリンターは紙にインクを吹き付けて印刷しますよね。その紙が生地になったと思ってください。
インクジェットプリントは、Tシャツなどの生地に直接顔料インクを吹き付けてプリントします。コンピュータで作成したデータが、そのままプリントアウトされるのもプリンターと同じ。
美しいフルカラー印刷を簡単に実現することができることに加え、プリントに際して型のようなもの(版)を作成する必要がないので、1枚でも低コストに抑えることができるというわけです。
インクジェットプリントの特徴
デジタルデータをそのまま生地にプリントできるので、思い通りのデザインを簡単に再現できるというのが、インクジェットプリントの最大の特徴。データを変えればいいだけなので、例えばユニフォームのように一人ひとり違う名前や番号を入れたいといった時にも、柔軟に対応することができます。
実際に生地にプリントするとどんな仕上がり?
では、実際に生地にプリントする様子を見てみましょう。
【インクジェットプリントによるTシャツ製作】(参考動画 弊社のものではありません)
紙にプリントするのとあまり変わらない印象ですよね。
グラデーションも自由自在なので、↓このような繊細なプリントも可能です。
インクジェットプリントのメリット・デメリット、他プリントとの比較
インクジェットプリントがどのような仕組みがわかったところで、今度はインクジェットプリントのメリットとデメリットについて見ていきたいと思います。また、他のプリント方法と比較することにより、インクジェットプリントがどのような場合に向いているかを検証してみましょう。
インクジェットプリントのメリット
- 色数の制限なくフルカラーで印刷可能(金銀蛍光など特色は不可)
- 版が必要ないので1枚から低コストでプリントできる
- ぼかしやグラデーションも表現可能
- データを拡大縮小することでサイズに合わせてバランス良くプリントできる
- 納品スピードが早い
- 1枚ごとに名前を入れたり数字を変えたりできる
- プリント部分がゴワつかず着心地が柔らかい
インクジェットプリントのメリットで注目すべきは、【フルカラーの写真やイラストが再現できる】・【風合いが柔らかくゴワつかない】の2点。
インクジェットプリントのデメリット
- ポリエステルやナイロンなど綿以外の生地にはプリントできない
- 金・銀・ラメ・蛍光色は表現できない
- カラーによって前処理剤の跡ができる
- さほど発色が良くない
ポリエステルやナイロンの割合が高い生地には不向き
ポリエステルやナイロンなどの化学繊維はインクを弾いてしまい定着しづらいため、インクジェットプリントができません。綿100%の製品のみプリントができます。
金・銀・ラメ・蛍光色は表現できない
インクジェットプリントはCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の4色をかけ合わせて色を表現しています。そのため、金・銀・ラメ・蛍光など特殊な色を作り出すことはできません。
また、RGBカラー(赤・緑・青で表現されたもの)でデザインしたデータは、仕上がりの色に差が出てしまいます。
カラーによって前処理剤の跡ができる
濃い色の生地にプリントする場合、発色を良くするための前処理剤(透明の糊のようなもの)を塗布してから印刷します。これによってプリント面が若干かたくなったり跡が残ったりしますが、一度洗濯すれば薬剤は落ちます。
さほど発色が良くない
インクジェットプリントは、インクを直接吹き付けて染み込ませるので、発色にやや物足りなさを感じるという方もいます。これは好みの問題もありますが、逆にそれが味となりおしゃれな仕上がりになっているとも言えるのではないでしょうか。
シルクスクリーンとの違い
インクジェットプリントとシルクスクリーンとでは、プリントする方法が全く違います。アートの表現方法としても知られるシルクスクリーンは、布地にプリントする方法として最もポピュラーな方法です。木やアルミのフレームに紗(=スクリーン)を張ったものを1色につき1版作り、その枠(版)の中で、インクを通す部分と通さない部分を作る事で印刷するという仕組み。
1色ごとに版を作り、刷り重ねることで多色刷りも可能です。ただし、グラデーションやぼぼかしのような繊細な表現には向いていません。
インクジェットプリントと違い、金・ラメ・蛍光などのインクも使用可能で発色も良く、耐久性にも優れています。さらに、綿だけでなく様々な生地に対応可能。
シルクスクリーンは、版を作成するので、小ロットだと1枚当たりの単価が高くなります。ただ、版さえ作ってしまえば何枚でも印刷することができるので、多ければ多いほど1枚当たりの単価を安く抑えることが可能。
転写シートとの違い
転写シートは、生地に直接インクを吹き付けるインクジェットプリントとは違い、デザインを特殊なシートに印刷しシートごと生地に圧着するプリント方法。インクジェットプリント同様、版が不要なので小ロットのプリントにも向いています。
生地色に影響されず色味が鮮やかに表現でき、グラデーションやぼかしも可能。洗濯強度も強く、擦れや色落ちに強いのも特徴です。
昇華転写プリントとの違い
昇華転写プリントとは、専用シートにデザインを印刷し、生地と圧着させ、熱を加えてインクを帰化させ染色するプリント方法です。熱転写プリントはシートを熱で圧着しますが、昇華転写プリントはインクを気化させることで素材に定着させるというのがポイント。
特殊な加工のため使用できる生地はポリエステルの白生地のみです。
インクジェットプリントの色落ち事情
インクジェットプリントに限らず、Tシャツなどのプリント物に共通して存在するデメリットが“色落ち”です。インクジェットプリントは、生地にインクを吹き付けてプリントするため、色落ちを完全に防ぐことはできません。
ですが、プリントの種類に合ったケア方法を行うことによって、できるだけ色移りを防いだりきれいな状態でプリントを長持ちさせることは可能です。
【インクジェットTシャツを洗濯する際気を付けること】
- 念のため白い物とは分けて洗濯する
- 裏返して洗濯ネットに入れる
- ドライクリーニングは避ける
- 漂白剤・乾燥機の使用は避ける
特に1回目の洗濯に気を遣うことで、ダメージの度合いは変わります。せっかく思い入れのあるプリントですから、長く愛用できるよう、洗濯の際は気遣いを忘れずに。
まとめ
版の要らない手軽さや低コスト・デザイン変更の柔軟性が魅力のインクジェットプリント。メリットやデメリット、他プリントとの差異を明確にすることによって、より自分がプリントしたいデザインやボリュームに向いているかどうかがおわかりいただけたと思います。
インクジェットプリントは、小ロットでコストを抑えたい場合に特におすすめ。大ロットで考えている場合は、それぞれのプリントの特徴と価格を照らし合わせて決めるのがいいでしょう。
ぜひ本記事を参考に素敵なオリジナルTシャツを作成してくださいね。
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